小説:(隔週連載)

「がんばれ!沖田君」

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主人公:沖田裕貴(32歳)、妻(30歳)、
長女(3歳)、長男(0歳)の4人家族。

※彼が体験する業界の不思議を、
中堅営業マンの目線でお話します。
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2008年12月1日(月)
第3話: 答えはどこに・・・

 ■前号のあらすじ…沖田は同業他社にいる友人の中島に、専門店の実態を聴いて驚きを隠せなかった。しかし逆に燃えるものを感じ、翌日から行動を開始した。
 出勤した沢田部長は、沖田がすでに営業に出かけたと聞いて驚いた。もちろん行動予定はメールで報告されていたが、沖田の机の上に貼ってあったメモを見て「何だこれは?」と声にしたのだった。
 それは、昨夜友人の中島が、沖田のために持ってきてくれた本に影響されたもの。沖田は家に帰ってから少し酔いながらも、興奮気味にパソコンで一気に打ち出したのだった。そこには、箇条書きでこう書いてあった。
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◆◆マイ・クレド(私の信条)◆◆
(1)私は、夢をあきらめない
(2)私は、チャレンジを恐れない
(3)私は、提案を怠らない
(4)私は、情熱を絶やさない
(5)そして私は、感謝を忘れない

■■私の具体的な行動■■
(1)出勤を1時間早める=朝型人間になれ
(2)ポジティブに考える=言い訳するな
(3)月に10冊の本を読む=やればできる
(4)話すよりまず聞く=相手の本音を知れ
(5)1日30回「ありがとう」を言う=照れるなよ
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 「なんであいつは自分の手帳に貼らずに机に貼ってるんだ?」沢田部長の独り言に、アシスタントの山口さんが、 「今朝出かける前にこれを貼りながらぶつぶつ言っていましたよ。だから何言ってるのって聞いたら、笑いながら『ここにあれば絶対に忘れないから…』って言ってました。それからアポに遅れると言って慌てて飛び出して行きましたよ。」
 「あいつの今日の予定は確か…」
実は沖田は、昨夜中島に頼みこんでその場からその社長を紹介してもらい、アポイント取ってもらったのだ。
 その社長と中島は、10年来の付き合いで、中島にとっては良きアドバイザーであり、良き商売相手でもあった。だからその社長も快く応じてくれたが、ただ11店舗のチェーン店の社長なのでとても忙しい。しかも2代目と言うこともあり、いろんなことを自らやっているらしかった。だから朝早く事務所に入り、11時には店とその周辺を廻り始めるらしい。だからアポイントは朝10時ということになったのだ。
 中島に聞くと、この社長との商談はいつも朝10時で、日中の商談は余程でなければしないらしい。「答えは店頭にある」が口癖らしく、常に市場リサーチをしているらしかった。
沖田にとっては、願ってもない相手であり、会うことがとても楽しみな人であった。

■その沖田を驚かせる社長とは一体どんな人物なのか。そしてその社長の行動力の秘密は…次回解き明かされる。

参考:高野登著「サービスを超える瞬間(実例・実践編)」