小説:(隔週連載)

「がんばれ!沖田君」

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主人公:沖田裕貴(32歳)、妻(30歳)、
長女(3歳)、長男(0歳)の4人家族。

※彼が体験する業界の不思議を、
中堅営業マンの目線でお話します。
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2009年 9月 13日(日)
第24話: 「振り返るとそこには…」
■前回のあらすじ・・・新人営業マンの失言により、会社の営業スタイルがバラバラだったことに気がついた沢田部長は、改めて営業マンを招集した。


『今日集まってもらったのはほかでもない。今まで会社のルールの説明はしてきたが、それぞれ君たちのキャリアを尊重して営業スタイルは任せてきた。ところが、若い人が入ってきて、それをそのまま会社のスタイルとして営業してしまうようになっていた。それが悪いと言うことではなく、今ここで改めてそれぞれのスタイルを皆に披露しようじゃないか。そうすることで、自分の欠点や、他の人の良いところを真似できるんじゃないかと思うがどうだ。』
「部長、それはそうかも知れませんが、我々はすでに自分のスタイルで実績を上げてきたのです。新しいことは取り入れなければならないと思いますが、人に見せて批評してもらうのはどうかと思いますが…」とベテラン藤田。
「そうですよ、今さら直せと言われても、もう無理なんじゃないですか?」と金本も続く。
『では聞くが、自分達のスタイルでやってきて、自分達の立てた目標は達成できているのか?自分達で変化を求めて改善して行こうと言う向上心はないのか?』と部長の沢田。
「部長、例えばこのスタイルをやると必ず成功するという会社のやり方があるのでしょうか?」と藤田。
『おいおい、君がそう言うとは心外だな。君は逆に若いものを指導する立場だろう?だったら、率先して改善していくべきではないのか?』
「それは判りますが、我々も遊んでいる訳ではありません。みんなギリギリで仕事して、さらにもっと良くなろうと努力しているつもりです。それを互いに批評し合うのはどうかと言っているのです。」
『わかった、それもそうだな。ただ、百歩譲って、君たちのスタイルを貫き通してもらったとしても、それは対外的には会社のスタイルとして見られることだけは肝に銘じてくれ。」
「そんなことみんな判ってますよ。」金本。
「そうだろうか?では社内でクレームを一番先に聞いている総務と営業事務の彼女達からヒアリングした内容を発表するから聞いてくれ。その上で考えてみてくれ。」と沢田部長が発表した内容は…
■営業マンが商品を持って来た時、車の中でたばこを吸うから、商品ににおいが移っている。
■店の前でたばこを吸って、その吸殻を捨てていた。
■車の窓から吸殻を投げ捨てていた。
■店にコートを着たまま入ってきた。
■接客中と判っていながら電話のコールを何回もする。
■接客中なのに、お構いなく店に入ってくる。
■アポ無しで突然現れる。
それから・・・
「ちょっと待って下さい、部長。聞いていると、営業のやり方以前の問題じゃないですか、これって」と金本。
『そうさ。こんな細かいことが、彼女たちの耳に入って来ているんだ。私も聞いてびっくりしたよ。でも彼女たちは、この内容をどう伝えれば良いのか困っていたみたいだ。告げ口みたいになるからと…』
『どうだ、言われてみて初めて気がついただろう。誰がどうとは言わないが、自分の胸に手を当ててよく考えてみてくれ。これが我が社の実態だったのだ。私も反省している。』
「判りました。大人として、商売人として、営業として、人間として、今一度自分を振り返ります。それから、今日から営業社は禁煙だ。私も気をつける。やろうぜ。」と藤田。
そして皆それにうなずいた。

■こんなレベルだったのかと驚いた沖田に、一通のメールが届いた。妻からだった…。