小説:(隔週連載)

「がんばれ!沖田君」

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主人公:沖田裕貴(32歳)、妻(30歳)、
長女(3歳)、長男(0歳)の4人家族。

※彼が体験する業界の不思議を、
中堅営業マンの目線でお話します。
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2010年 5月 17日(月)
第41話: 「運命の花は…」
■前回のあらすじ…次期候補のデザイナー土井陽子さんとの偶然の出会いで、世の中はこんなに狭いものなのかと実感するほどの体験をした沖田は、月曜日の面接に期待した。

『おはようございます、土曜日は有難うございました。』と玄関で土井陽子さんを迎えた沖田は、早速チーフの待っている企画室へと向かった。
「おはようございます。でも本当に一昨日は驚いちゃった。まさか沖田さんと智子が話していた会社が同じだったなんて奇遇よね。」と花柄のスカートにジャケットが似合う、今日も明るい陽子であった。
『いえ、運命かもしれませんよ。この間も言いましたけど。』と沖田。
「運命と言えば、これから会う大西チーフ、実は私と智子の大先輩にあたる人なのよ。」
『えっ本当ですか、学校の?』
「そうよ。専門学校の大先輩で、時々先輩講師としてセミナーを開いていたのを、私達は憧れの的で聞いていたのよ。」
『そうなんですか…』と沖田。
「で、智子と二人で大西チーフの門下生になろうと、当時大西女史の企画会社に体当たりしたけど、採用されたのは智子だけだったの。で、私はそれから実家に戻って大阪のL社に就職が決まったの。」
『そうか、そしてその企画会社をそのまま引き受けたのがうちの会社なんだ。』
「だから全てが運命かもね。」
話しているうちに企画室の前まで到着すると、待っていたかのように中から大垣サブチーフが出てきた。
「あれ?沖田さん陽子と知り合い?」
『いえ、本当に偶然が重なって…話すと長いのであとで話しますよ。』と沖田。
「陽子、朝早くからごめんね。このタイミングしかなかったから。さあ、奥にどうぞ。チーフも待ってるわ。」
「じゃあ、沖田さんまた。有難うございました。」
『では、頑張って下さい。期待しています。」
「ふふふ」と笑顔で企画室に入っていった。その途端に、
「おい、沖田!」と背中から突然声がした。
『うわっ、びっくりしたあ、驚かせないで下さいよ。』
「今の美人だれ?やけに親しそうだったけど?」と、興味津津の沢田部長。
『大垣サブチーフの友達で、今日面接に来られた土井陽子さんです。』と沖田。
「なんで君が親しげなの?」
『話せばややこしいのですが、ええっと、実は…』と一昨日の会食のいきさつを話す沖田。
「なるほど、で? どうなんだ彼女の感触は?」
『結婚して専業主婦になりたいとは言っていましたけど、大西チーフには相当憧れていますから、たぶんチーフから説得されれば気持ちが傾くんじゃないかと思いますけど。いや、傾いて欲しいなあ…』
「君らしくないなあ、もっと営業の熱意を前面に出せばいいじゃやないか。面接が終わったらあとで営業部にもお連れしろよ。」
『営業部見てがっかりしたらどうします?』
「ばか!」
『すみません、あとでご紹介します。』

■面接は途中で河本社長も加わり、結局昼までかかった。その後大垣サブチーフと4人で食事に行ったようだった。ローカですれ違った時に大垣サブチーフが出したブロックサインはVだった。