2010年 8月 23日(月) |
第48話: 「埋蔵金!?」 |
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■前回のあらすじ…事業部制のなかでブランドごとにも独立採算の考え方を指示され、すかさず沖田が打ち出した提案とは…
『お疲れ様です』と、メールの件名が見えた。
沖田はこの度の組織変更に伴い、以前の会社で一緒に働いていた平原さんを一緒に働けないかと会社に内緒で打診していた。
現在専業主婦の彼女は、その当時、営業部内の個性的な営業マン達をうまくリードし、営業担当者が留守でも得意先からの電話の用件をテキパキとこなして、営業マン以上に信頼を得ていると評判だった。その平原さんからの返事のメールであった。
『この度のお誘いの件、主人に話すととても喜んでくれました。ただ、社員として勤めるには今は難しいので、パートという時間制勤務でも良ければいいんじゃないかとも言ってくれました。私もその方が本当は有難いのですが…』
と、微妙な言い回しの内容だったが、NOではなかったことに一応安堵した。
早速に沖田は、沢田部長にその旨報告した。
「そうか、パートとしてか・・・。うちでは一般職を含めてパート勤務はないから初めてのこととなるなあ。一応社長に聞いてみるから結論は保留にしてくれ。」
『そうですか、判りました。宜しくお願いします。でも、彼女が入ることによっての我々営業の動き方が断然違ってくるのは火を見るより明らかなんです。しかも事業部独立採算の考え方でいけば、どうすれば売上と利益を自分たちで上げるかを問われていると思うんですが…』と、食い下がる沖田。
「確かにそうだろうが、会社にも会社の事情があるのも明らかだ。その辺は将来を見据えた社長の考え方ひとつだが。ちょっと社長の都合を聞いてみるよ。確か今日は社内のはずだから…」と言って内線で確認すると、今なら大丈夫と言うことで部長は社長室に向かった。
30分後、沢田部長が戻ってきた。
『いかがでした?』と詰め寄る沖田。
「やはり、現状は難しいとの結論だ。まず事業部制にしようと決めた根本を判って欲しいと。」
『どういうことですか?自分たちで経費を考え、それを賄うための売上と利益を上げることだと思っていましたが…』
「それで正しいのだが、実際にそのための採用など各事業部が今すぐやると、社内のバランスが崩れると言うのだ。つまり今の経営資源とスタッフでどれだけ効率よく効果を出せるかをこの1年間は考え、知恵を出して欲しいとのことだ。」
『よく判りません』と不満そうな沖田。
「これは親心だとも社長は言っていた。君たち社員の潜在能力を引き出すには、君たち自身の限界をもっと知って欲しいと。社内には有効な資源が眠っているのではないのかとね。それに気がついて欲しいと言っていた。」
『社内埋蔵資源ですか・・・。』まだ納得いかない沖田だったが、沢田部長がすかさず、
「うまいこと言うなあ。そうだよ、その埋蔵資源をみんなで見つけようじゃないか。きっとあるさ。これだけ優秀なスタッフがいるんだから。」
『わかりました。平原さんには丁寧に謝ります。私も気持が先走り過ぎたかも知れません。何とか今のスタッフで頑張ります。』
ようやく気持ちの切り替えが出来た沖田は、早速ブランドメンバーを集合させた。
■経営資源を活かすにはどうすればよいのかを改めて問われた形となったが、その限られた資源に埋蔵金をプラスするには…若いスタッフが知恵を出し合った。 |
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