小説:(隔週連載)

「がんばれ!沖田君」
バックナンバー   
第1話 第9話 第17話 第25話 第33話 第41話 第49話 第57話 第65話
第2話 第10話 第18話 第26話 第34話 第42話 第50話 第58話 第66話
第3話 第11話 第19話 第27話 第35話 第43話 第51話 第59話 第67話
第4話 第12話 第20話 第28話 第36話 第44話 第52話 第60話 第68話
第5話 第13話 第21話 第29話 第37話 第45話 第53話 第61話 第69話
第6話 第14話 第22話 第30話 第38話 第46話 第54話 第62話 第70話
第7話 第15話 第23話 第31話 第39話 第47話 第55話 第62話 第71話
第8話 第16話 第24話 第32話 第40話 第48話 第56話 第64話 第72話
====================
主人公:沖田裕貴(32歳)、妻(30歳)、
長女(3歳)、長男(0歳)の4人家族。

※彼が体験する業界の不思議を、
中堅営業マンの目線でお話します。
====================
2011年 8月21日(日)
第73話:もう頑張るしかない!」(最終回)
■前回のあらすじ…あの合同展から1年半が経った。


「元気そうだな、半纏(ハンテン)も似合ってるぞ。」と沢田部長。
『本当にご無沙汰してます。予約の名前を見た時驚きましたよ。出張なのにここまで足を延ばしてもらって…』と恐縮する沖田。
「今回は余裕のルートだから平気さ。」と沢田。
「本当に沖田さんはすごいス。」と藤原。
『君も今や営業リーダーだから大変だろう?』と沖田。
「全然、沖田さんの教えをそのままやってますよ。それに部長もちょっとだけフォローしてくれますし…。」と部長を見る藤原を怒る沢田。
『でも、合同展から1年半も経ったなんて信じられないですね。』
「そうですよ、最終日終わった瞬間に沖田さんから実はお義父さんが亡くなったって聞いてみんな驚いていたでしょ。それからですよ、みんながさらに団結して沖田さんが居ない分までしっかりやろうって動き始めたのは…そりゃもう児島社長なんか動きまくり!で3回も合同展やりました!」と笑う藤原はさらに、
「河本社長も、あの時紹介してもらった太田社長と山本社長の雑貨ギフト組合とうまくコラボできて、今では自分がすべて担当してますよ、ね、部長」と藤原。
「お蔭で本体ブランドも順調だ。」としみじみと言う沢田。
『いえ、社長には本当にわがままばかり言いました。ここにきて1年半ですがようやく僕もこっちのリズムに慣れてきました。でもまさか宏子の実家の旅館で番頭をやるとは夢にも思いませんでしたけどね。』と笑う沖田。
「でもあの時は驚いたよ。お義父さんのお葬式の時にお義母さんも倒れてそのまま入院してしまっただろ、だからここをどうするのかなと思っていたんだ。そしたら君がここ継ぐために会社を辞めますって言って来ただろ、河本社長も俺も正直驚いたよ。」と回想する沢田。
『まあ、成行きではなかったんですけどね実は。何となく昔からこうなるかなって思っていましたし、ぜんそくの娘にもこっちの空気の方がいいだろうなと思いましたし…』と沖田。
「それにしても、沖田さんですよね、1年半で番頭さんの風格が出てるし。で、奥さんが美人女将なんですよね。美人・オ・カ・ミ!」と突っ込む藤原に、手を振りながら、
『妹の美佐が教員試験に合格して夢だった教師に近づいたんで、その夢を実現させなさいってカミさんが追い出しちゃたんです。宏子もその時点で覚悟を決めたんでしょうね、女将になるって。だから、僕が決めたっていうより二人の考えが一致したってことです。』と話す沖田にうなずく二人。
「で、その美人女将は?」と沢田が聞くと
『すみません。組合の会合で今出かけてまして、もう少しで戻りますから戻ったら挨拶に来させます。それまではどうぞ自慢の露天に入ってゆっくりして下さい。夕食は活きのいい魚が入ってますからお楽しみに。』と言う沖田に、
「ヨッ、番頭!」とからかう藤原に皆笑顔だった。

最高の仲間と理解ある上司。そして家族。
関わり合いながら生きていかなければ前へ進まない。
相手を思う気持ちが心を動かし、人を動かす。
更に次のステージに上がろうとする沖田や沢田たち。

そのときローカから大きな声で「あんた!がんばりんさい!」と言う関西弁なまりのおばちゃんの声が聞こえた。

短い間でしたが、お読み頂いて本当に有難うございました。また次の機会までどうぞお楽しみに。